美容クリニックで行われる幹細胞治療(再生医療)って危なくないの?

「iPS細胞」の研究発表などから新たな可能性として大注目を集めている「再生医療」。これは自分のカラダから採取された細胞を治療に用いる方法です。これまで不可能だと思われていた病気やケガの治療が可能になると世界中で期待されています。

さらに、医療分野での治療を“美容の分野”に応用した「幹細胞治療」も、近年では“美”や“若さ”を追求する最先端の治療法として多くの美容クリニックに採用されているようです。“幹細胞治療”と聞くと、その安全性やリスクが心配になることでしょう。

そこで今回は、美容クリニックで行われる「幹細胞治療」の危険性について調べました。

美容クリニックでの再生医療とは?

美容クリニックでの再生医療

美容クリニックでは、主にいつまでも若々しさを維持するための“アンチエイジング治療”という目的で「幹細胞治療」が行われています。患者本人から採取された「幹細胞」や「幹細胞由来の培養液」を用いてシミやシワ、肌のたるみや弾力改善などの効果が期待されています。ここではいくつかの治療方法をご紹介します。

脂肪組織由来幹細胞移植

脂肪組織由来幹細胞移植

豊胸(脂肪幹細胞注入)

患者自身の腹部や太ももから脂肪を吸引して吸引した脂肪組織から幹細胞を分離し、残りの脂肪から不純物を取り除いた後で幹細胞と混ぜ合わせて乳房に注入する豊胸術です。

従来の脂肪だけを注入することに加えて“脂肪幹細胞”を同時に注入することで、従来の脂肪注入で生着率が30~50%だったものが70~80%程度と高くなったと言われています。

また、しこりのリスクを最小限にできるようです。さらに、シリコンバッグよりも感触や見た目も自然で1~2カップほどサイズアップさせることが可能です。

皮膚の若返り

皮膚の若返りは、患者自身の腹部や太ももから採取した脂肪から「脂肪幹細胞」を抽出して顔のシワだけでなく気になる「くぼみ」や「こけ」など凸凹部分に注入する若返り術です。

顔全体を丸みのある自然なラインに仕上げることができ、見た目印象をトータルに若々しく見せることができます。

美容クリニックによっては「脂肪組織由来幹細胞移植」にプラスして、患者自身の血液から抽出した“PRP(多血小板血漿)”を加えることで、PRPに含まれる“成長因子”が血管や細胞を修復したりコラーゲン生成などを助けたりして肌を若返らせることが期待されています。

PRP皮膚再生療法

PRP皮膚再生療法とは、患者自身の血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を注入して、皮膚の若返り・再生を図る治療法です。

血小板にはヒトの出血を止めるはたらきがあるだけでなく、皮膚や血管、骨や関節など修副作用があります。そこで、シワや目の下のクマ、ほうれい線などの顔の気になる部分に注入することによって肌の若返りが得られることが期待されています。

さらに血小板に含まれている「成長因子」によって皮膚が再生・活性化され肌のたるみを改善することも可能です。

FGF注入療法

「FGF」とは、“線維芽細胞増殖因子”のことでヒトの体内にあるタンパク質の一種。「FGF注入療法」とは、“FGF”を気になるシワやほうれい線、額のシワや目元・ホホくぼみなど気になる部分に注入して、肌にある「線維芽細胞」を増殖させ肌本来がもつ“再生力”を取り戻そうという治療法です。

こうして線維芽細胞を再生させると、皮膚組織の中にあるコラーゲン・エラスチンなどが活発に生成されるようになり、ハリや弾力のある潤った肌になることが期待されます。従来の「ヒアルロン酸注入法」よりも長期間効果が持続するメリットがあります。

再生医療に危険はないのか?

美容クリニックで行われる幹細胞治療(再生医療)って 危なくないの?

まだまだ研究段階であること

“幹細胞”を使用した再生医療は最先端技術、言い換えればまだ十分な症例数がなく経験豊富な医師たちにも「まだまだ分からないことが多い」といわれるほどの技術です。今のところ顕著な副作用や危険性が現れていなくても、治療後10年・20年経ってどうなるかは未知の治療法だと言えるでしょう。

実際、通常の医療現場では、臨床試験を何度も繰り返し効果・安全性がしっかりと審査された治療のみ実施されます。ところが、美容クリニックのように患者さんが全額費用を負担する“自由診療”の場合は、研究途上の治療でも医師が自由に行えるのが現状なのです。

美容クリニックでのトラブルも

保険外診療の美容医療では消費者トラブルの相談が増加していると言われています。

例えば、幹細胞を投与した「豊胸手術」を受けた女性が、「術後、胸がそれほど大きくならなかっただけでなく多数のしこりができた」というトラブルや、「FGF注入療法」を受けて「皮膚が思ったより膨らみすぎて顔が以前よりもデコボコになった」というトラブルにあった人も多数いるようです。

いずれの場合でも施術の結果できてしまった「しこり」や「異常な膨らみ」などは、修復が非常に難しく元に戻すのが簡単ではありません。このような“失敗例”も、現実には多数存在することも理解しておきましょう。

美容クリニックの宣伝

美容クリニックの宣伝などで多く見られるのが「自分の細胞から採取されるから大丈夫」とか、「拒絶反応がないから安心」などの謳い文句があります。さらには幹細胞治療のメリットばかりを強調して、まるで“魔法のような治療法”だと思わせる傾向があります。

その反面、治療に関するリスクをきちんと説明されていないこともあるようです。

ところが、実際には先に書いた通りすべての施術が成功するわけではなく、治療前には説明されていなかったようなトラブルに悩まされる人も少なくありません。もちろん、成功例も多数あるので「すべてが危険」だと決めつけることはできませんが、クリニックに紹介されている“成功体験”ばかりではないことも知っておきましょう。

美容クリニックでの幹細胞治療はリスクを考慮して

幹細胞を利用した美容法

今回は、美容クリニックで近年さかんに実施されている「幹細胞治療」の危険性について調べました。

女性なら誰でも「若々しさ」や「美しさ」に憧れるものです。そんな女性の願望に応えるようなカタチで、“幹細胞”を使った美容医療が多くの美容クリニックで提供されているようです。

実際に、このような新しい治療を受けて肌の悩みが軽減された例もたくさんあります。

ただ、「幹細胞治療」は、医療分野でもまだまだ研究段階にあるのが現状です。美容クリニックの宣伝では、“治療効果”や“成功例”を強調して、治療にはメリットだけがのせられていてリスクについてはほとんど説明されていないことが多いようです。

すべての治療が危険だというわけではないようですが、最新治療には今後予知していなかった症状が出る可能性など大きなリスクも伴うことをしっかりと考慮する必要があるでしょう。